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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻11号

1975年11月発行

文献概要

研究と報告

Cushing症候群における精神的要素について

著者: 遠藤みどり1 吉見輝也2 佐古伊康3 谷村弘4

所属機関: 1京都大学医学部精神神経科 2京都大学医学部内科第2講座 3京都大学医学部老年科 4京都大学医学部外科第2講座

ページ範囲:P.1179 - P.1191

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I.はじめに
 種々の内分泌疾患において,その経過中にしばしば精神症状が発現する場合があることは周知である1,3)。また,ある種の内分泌疾患では,その身体症状がまま何らかの精神的stressによって発現を促されるように見えることも,同様に古くから知られている1,4,5)。これらの事実は,精神現象の生物学的側面を探究する努力を促すところが大であったとはいえ,その解明への試みは未だ推測の域を脱しないといわねばならない。Cushing症候群は,内分泌疾患中でも,上述の二通りの意味での精神的要素との関連が最もしばしば認められるものの一つといってよく,そのさい出現する精神症状の多彩さからみても,内分泌疾患全般と精神現象との相互関係を探究するための手がかりを数多く与え得るように思われる。最近の内分泌学の著しい発達が各種のホルモンおよびその代謝産物の逐時的な測定を容易にし,本症自体の成因も次第に解明されつつあるようにみえる。本症における精神的要素も,かかる見地から再吟味を加えられる必要がある。著者らはこうした意図のもとに,著明な精神症状を呈した2例の本症患者を提示し,精神状態および内分泌学的所見を初めとする身体症状の推移を,在来の記述ならびに最近の内分泌学的知見に基づいて検討しようと試みた。
 なお本稿において用いた“Cushing症候群”という呼称は広義のそれを指し,下垂体より上位に原因を有するいわゆるCushing病と,狭義のCushing症候群との両者を包括するものとする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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