icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻11号

1975年11月発行

研究と報告

Pentazocine依存の2症例—その医療麻薬中毒的側面

著者: 有川勝嘉1 永田利安1 山内洋三1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1193 - P.1200

文献概要

I.はじめに
 Pentazocineは1959年に開発されたbenzazocine系誘導体の合成鎮痛剤である。ただちに臨床応用も行われ,morphineに優るとも劣らない強力な鎮痛効果が認められ5),しかも非耽溺性鎮痛剤としての評価をうけ12),その後ずっと麻薬の取り扱いをうけない鎮痛剤として広く使用されている。しかし1968年Keup8)の報告いらい,欧米ではPentazocine依存の症例報告がなされるようになった。そしてJasinskiら7)の実験によれば,長期間投与によりPentazocineはmorphine依存とnalorphine依存の混合型の依存性が生じることを示し,nalorphineよりは強力でmorphineよりは弱い依存を生じるとされている。
 わが国では1970年より本剤が発売されたが,その紹介にさいして細谷6)はとくにその依存性に関して慎重な取り扱いを要することを指摘している。それにもかかわらず1972年には小片ら11),1973年には水島9)が本剤の依存例を各1例報告した。われわれは最近Pentazocine依存と思われる2症例をつづけて経験した。その2例とも,Pentazocine施用がかつてわれわれが経験した医療麻薬中毒2)のそれに類似していることに注目したので,その概要を報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら