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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻12号

1975年12月発行

文献概要

展望

集団精神療法の最近の動向

著者: 池田由子1

所属機関: 1国立精神衛生研究所,児童精神衛生部

ページ範囲:P.1244 - P.1259

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Ⅰ.まえがき
 集団精神療法の発展と現況という綜説を書いてから,9年経つ。再び最近の動向という題を頂いたが,このような場合,次々に出現する新しい考え方や,技法のみが誇張されて紹介されやすいので,ある程度長い時間の経過を観察した後でないと,正鵠を得た報告となりにくく心配である。精神療法の領域では,多くの人びとが自分の個性的な臨床的実践から新しい理論を体系づけようとするが,その創始者が衰亡すると,理論や技法のうち,普遍妥当性のあるものは,精神療法の大きな流れの中に取りこまれるが,他は消え去ってゆくことが多い。
 この小文で主に取り上げるのは,1950年代から1970年にかけて,米国で雨後の筍のように次々と現れた一連の集団精神療法関係の新しい波である。前の小文にも記した集団精神療法の主な流れ―精神分析や力動精神医学に基づく―には,対象の拡大のほか大きな変化は見られなかった。最近,S. R. Slavsonが1952年に書いた集団精神療法の最近の傾向,同じくFrank, J. が書いた集団精神療法の研究という2文が1974年に再刻されたのを読む機会があったが,曰付を見なければ,当時の問題や関心と,現在のそれらとあまり変化のないことに驚かされた。もっとも,集団精神療法がこのように系統化され,標準化され,ある意味では画一的になり,また時間と費用のかかる社会で公認された治療法の一つとなったということが,後述するような反権威的な動きを生み出した原因の一つになったのかもしれない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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