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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻12号

1975年12月発行

研究と報告

分裂病の前青年期について—FreudとSullivanのパラノイア論の比較

著者: 阪本健二1

所属機関: 1阪本病院

ページ範囲:P.1261 - P.1265

文献概要

 わが国における精神分裂病に対する精神療法的実践の現況をみると,そこにはやはり試行錯誤的状態や,ある程度の混乱が存在するように考えられる。そして私には,その理由の一つとして精神分裂病の力動の治療的理解についての意見の多様性や混乱が,その背景として存在していると思えるのである。
 それにつけても,私の見方からすれば,精神分裂病の力動的理解の一つの柱となったSigmund Freudのパラノイア理論は,その天才的洞察にもかかわらず,彼の同性愛学説,非性欲化・性欲化理論,また,昇華学説のもつ難点,投影の必然性についての難点,および何にもまして精神分裂病に対する彼の治療的ニヒリズムの故に,ひろく精神科医一般に受け入れられるものとはなっていないようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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