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研究と報告
異形恐怖Dysmorphophobieについて—青年期に好発する異常な確信的体験(第4報)
著者: 青木勝1 大磯英雄1 村上靖彦1 石川昭雄2 高橋俊彦2
所属機関: 1名古屋大学医学部精神医学教室 2静岡県立病院養心荘
ページ範囲:P.1267 - P.1275
文献購入ページに移動身体の外的欠陥に強迫的にこだわるDysmorphophobie(Morselli,1891)は,わが国では赤面恐怖,視線恐怖などと並んで対人恐怖の一亜型とされ1),それ自体が主題的に論じられることはなかった。これに対して外国文献中には最近もこれを主題的に扱った論文が散見される2〜5)。それらの論文はいずれも多彩な症例を挙げつつ,Dysmorphophobieは臨床単位か症状か,強迫か妄想かを論じている。以下に述べるわれわれの経験の限りでも,そこにみられる確信は単なる神経症性の恐怖や強迫をこえて,妄想と称せざるを得ないほどの強固な確信を例外なく示した。しかし,それにもかかわらず症状の構造や経過から見て,これを分裂病性とすることには躊躇せざるを得なかった。これらの点からみてもDysmorphophobieは症状論的にも疾病論的にも論議に値する主題といえよう。
Dysmorphophobieの今一つの特徴は,それが青年期を好発時期とする点である。われわれは十余年来青年期に好発する非分裂病性の異常な確信的体験に注目し,すでに思春期妄想症(délire pubère,Pubertätsparanoia)6)の名の下にその中心的病像を記述したが,ここにいうDysmorphophobieもまた思春期妄想症と類縁の今一つの重要な一群を形成するものであった。したがってここで,青年期に好発する異常な確信的体験に関する一連の研究の一つとしてDysmorphophobieを取り上げ,先に述べた思春期妄想症という中核的単位と比較しつつ,その特徴を際立たせてみようと思う。
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