icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻12号

1975年12月発行

文献概要

研究と報告

多彩なヒステリー症状を呈したてんかんの1例—その催眠療法を通じて

著者: 山内洋三1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.1287 - P.1293

文献購入ページに移動
I.はじめに
 ある種のヒステリー発作や行動は,てんかんのそれらと区別するのが困難である。また真性てんかんといわれるものでも,それらの患者達の発作には情動が十分関与しているといわれている1)。またLowry2)によると小発作型てんかんは心因性であろうとさえ極論している。ヒステリー発作とてんかんのけいれん発作の区別には脳波検査が手助けになるが,それだけでは十分でない。
 著者は,以前ヒステリー性の後弓反張を呈した過呼吸症候群をみたさい,彼女のヒステリー発作が,すなわちトランス状態にあるのだろうという観察から,過呼吸を行わせることにより催眠トランスが得られることも知り,催眠誘導に応用している3)。過呼吸を行わせるさい,ヒステリー性けいれんの疑われるものにはけいれん暗示を加えることによりけいれんを誘発し,しかもトランスに導けるものである。そしてそこでの激しい情動の発散を治療に応用している。Lindner4)も,心因性けいれん状態(すなわち,ヒステリー性けいれん発作)は催眠トランス誘導により再現されると述べている。すなわち彼はトランス中にけいれん発作の暗示を加えることによっても,また最初のけいれんが起こった時点へ退行させることによっても,容易に発作がひき起こされると述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?