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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻13号

1975年12月発行

臨時増刊号特集 精神医学における日本的特性

A.精神医療にみられる日本的特性

精神分析療法に関連して

著者: 岩崎徹也1

所属機関: 1東海大学医学部精神科

ページ範囲:P.1366 - P.1371

文献概要

Ⅰ.わが国における「精神分析療法」
 精神分析療法psychoanalysisということばが,わが国の精神医療の場で用いられるようになってから,既に長い年月がたっている。しかし,わが国におけるこのことばの用いられ方には,それ自体にかなり特徴的なものがある。つまり,欧米諸国で精神科医や心理学者たちがpsychoanalysisということばを用いる時に意味する内容と,わが国で精神分析療法ということばが通常意味する内容との間にはずれが認められる。それらの「ずれ」について,一言で言うとすると,欧米ではpsychoanalysisということばがかなり狭義に用いられるのに対して,日本では精神分析療法ということばが非常に広義に用いられているということになろう。
 精神分析療法psychoanalysisとは,精神分析の理論や技法に基づく精神療法であることはいうまでもない。しかしわが国では精神分析的な理論・技法によって行われる精神療法が,一般に,すべて精神分析療法と呼ばれる傾向が著明である。それに対して,欧米における場合,それがどんなに精神分析的な原理によっている精神療法であっても,必ずしもpsychoanalysisとは言わないことが多い。つまり,欧米では精神分析的な諸原理にのっとった精神療法の中でも,以下に述べるような諸条件を満たすものだけをpsychoanalysisと呼んで,これらの条件を満たさない他の精神分析的な接近を,精神分析的精神療法psychoanalytic psychotherapy,精神分析的な方向づけをもった精神療法psychoanalytically oriented psychotherapy,あるいはたんに精神療法psychotherapyなどと呼んで区別しているのが日常的である4,15)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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