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Schizophrenia—An Evolutionary Advance/Drugs, Neurotransmitters, and Schizophrenia

著者: 金野1 1

所属機関: 1東医歯大分裂病研究会

ページ範囲:P.162 - P.162

 この論文は,J. Huxleyと著者らによって1964年に発表された“Schizophrenia as a genetic morphism”という仮説を生化学的に発展させたものである。genetic morphismというのは,突然変異のみで起こるものより高頻度に個体群中に認められるすべての遺伝的特質をさしている。そして,これが環境内で有利に働けば,この特質は進化論的に次第に普遍的になってゆくとされる。著者は分裂病はgenetic morphismとしてのnicotinamide adenine dinucleotide(NAD)欠乏であるという仮説に達した。そして分裂病は,その特性の生物学的,社会的有利と不利とのバランスの上で,ある一定の出現率にあると考えている。
 分裂病が遺伝性で,それに伴う生物学的異常があるという論拠として次のような報告を列挙している。Rainerによる,分裂病者の血族では,遺伝学的に近い関係ほど分裂病発生率が高いという報告。Higgins,Karlsson,Heston,Kallmannなどの養子(親が分裂病または子供に分裂病遺伝負荷がある)の分裂病発生率の報告。Kallmann,Inouye,Slaterなどの双生児における分裂病発生頻度の報告。Fish,Alpertらの分裂病母親に生れた子供に意識状態や筋トーヌスの異常があるという報告。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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