文献詳細
資料
岐阜県における高齢の精神病入院患者の調査
著者: 杉本直人1 森崎郁夫1 赤座叡1 天野宏一1 四十塚龍男2 関谷重道3 三輪登久4 水野隆正5 杉山昌人6 広瀬靖男7
所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学 2慈恵中央病院 3不破関病院 4美濃加茂病院 5大湫病院 6荘川診療所 7須田病院
ページ範囲:P.411 - P.420
文献概要
(1)今回の調査では60歳以上の患者の比率が前回のそれより増加しており,統計学的にも有意の差であり,人口構成における老齢化を反映していると考えられる。
(2)前回の結果に比し,今回の結果では老年精神病の患者の比率が減少しており,これは統計学的に有意であって,今回の結果における分裂病患者の比率の増加と相関していると考えられた。このことは高齢で幻覚・妄想を前景として発病し,老年精神病あるいは分裂病と診断されるごとき精神病の診断学上の問題点としてとらえられるとともに,このような精神病は初発病年代,転帰などの観点から疾病論的な,また病因論的な問題を提起することを論じた。
(3)分裂病と診断されている患者では退院できないものがかなりある。しかし軽快あるいは寛解退院するものもかなりあり,死亡退院は少ない。老年痴呆,動脈硬化症では死亡退院が多い。
(4)老年痴呆と診断されている患者に現在寛解状態にあるものが少数ではあるがあり,われわれの老年痴呆の診断基準に問題があることを論じた。
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