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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻4号

1975年04月発行

文献概要

資料

老年期精神障害者の入院について—新潟県上越地区における5年間の調査

著者: 田中政春1 大森隆1 広瀬省1 坪井清碩1 秩父政夫1 千明豊広1 林茂信1

所属機関: 1国立犀潟療養所精神科

ページ範囲:P.421 - P.428

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I.はじめに
 日常の精神医療の場で急速に増大している地域の要望は老年期精神障害者の入院依頼である。
 老年期精神障害者が先進国において,急激に増加したことは新福ら6)により紹介された。それから十数年間が経過し,老人医療が大きな社会問題として認識されてきていながら,わが国における老年期精神障害者の実態は必ずしも詳しくは調査されていない。
 一方,外国においては1960年代になっても老年期精神障害者が増加しつづけていることがNew York Civil Hospitalの調査1),イギリスのKayら7),デンマークのNielsen5),スウェーデンのLarssonなどの報告によって明らかにされている。
 ことに1969年のWang8)の調査では,65歳以上の人口10万に対して2,300人が重篤な痴呆のため施設での看護を必要としているとなっている。
 われわれは日常の診療において,老年期精神障害者が確実にかつ急激に増加していることを実感しており,老年期精神障害者に対する対策がわが国の精神医療の領野で最も重要な問題となっていると考える。
 こうした理由から,われわれはまず,人口老齢化の進んだ新潟県上越地区を対象に老年期精神障害者の実態調査を実施した。
 老年という言葉にいろいろな議論があろうが,ここでは60歳以上を老年期とした。また加藤2)が指摘しているように,精神障害の有病率を調査する場合診断基準や事例発見の規定などに問題があるだけでなく,住民の協力という点でも調査の完遂に不安がある。
 このような点を少しでもさけるためにわれわれは精神病院に入院するということが精神症状の重症度の総合的な一つの基準にほかならないと考え,入院患者を対象に調査した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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