文献詳細
研究と報告
執着性格とてんかん性格の比較—第1報 ロールシャッハ・テストの成績
著者: 大熊輝雄1 川原隆造2 久場兼功2 梅沢要一2 中沢和嘉2 田中潔2 中村宏子2
所属機関: 1東北大学医学部神経精神科教室 2鳥取大学医学部神経精神科教室
ページ範囲:P.681 - P.690
文献概要
最近躁うつ病の発病における発病状況と病前性格の問題が注目され,下田27)(1950)のいう執着性格,Tellenbach31)1961)のメランコリー型Typus melancholicusについての研究が広く行われるようになった。執着性格は,下田27)原著によれば仕事に熱心,凝り性,徹底的,正直,几帳面,強い正義感や義務責任感,胡麻化しができないなどの諸特徴をそなえているが,新福28)これを感情興奮の持続が長くてなかなか冷却しない性格と説明している。
他方てんかん患者には特有な性格特徴を示すものが多いことも古来注目されており,いわゆるてんかん性格の特徴として几帳面,粘着性,融通性欠如,爆発性などがあげられている。このように執着性格とてんかん性格とは,異なる面は多いにしても,几帳面,融通性欠如などの点でかなりの類似性をもっており,両者の異同は重要な研究課題であるが,これについての詳細な研究は従来見当らないようである。そこで著者らは,執着性格とてんかん性格との類似点と相違点を心理検査をとおして研究することを計画し,まずロールシャッハ・テスト(以下「ロ」・テスト)による研究を行ったので,その所見を報告する。
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