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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

笑い発作を伴った驚愕反射てんかんの1例

著者: 加藤秀明1 森俊憲1 麻生哲郎1 山田一郎1 伊藤逸郎1 岩戸敏広1

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.699 - P.707

I.はじめに
 てんかん発作発症の誘因として,過労,暴飲暴食,不眠,月経,精神緊張などが働いていることはよく知られているが,これら誘因と発作とは直接に結びついているものではない。ところが,てんかん発作の中にはある特定の誘因によって発作が繰り返し誘発され,誘因と発作発症との因果関係が明瞭な反射てんかんと呼ばれる1群がある1)反射てんかんがわれわれの興味を引くのは,福山1)も述べているがごとく,反射てんかんは誘因と発作発症の関係が明らかなことにより,発作の発生機序を研究する好個な対象であり,ひいては一般てんかんの発生機序を解明するために有益な情報をもたらす可能性があるという期待によるものと思われる。
 このような考えのもとに,最近われわれは次のような興味ある反射てんかんの1例を経験した。1)不意の触覚刺激によって発作が誘発される驚愕反射てんかんで,2)笑いと思われる発作症状を示し,3)難治性であったがclonazepamが奏効した。
 われわれが本症例で問題としたいのは,笑いと思われる発作症状を示した点である。この発作の症状を笑い発作とするには検討を要するが,いずれにしてもこのような症状が反射的に誘発されたことは興味あることと思われる。さらにclonazepamが奏効したことは,一般に驚愕てんかんは難治性とされていることを考えれば,治療のうえからも重要と考えられるので,若干の考察を加えて報告する。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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