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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻7号

1975年07月発行

研究と報告

ヒステリー症状と心身症状が交互にみられた2症例—脳波異常との関係

著者: 服部隆夫1

所属機関: 1公立陶生病院神経科

ページ範囲:P.717 - P.725

文献概要

Ⅰ.まえがき
 疾病の古典的な3つの経過すなわち治癒,慢性化,死のほかに,ある症状が消失すると別の症状が出現する状態,あるいは病像が身体症状,精神症状あるいは社会的な行動の歪みなどの異なったレベルにわたって変動する状態は症状移動(syndrome shift)25〜27)という言葉で表現されている。症状の移動をひき起こす誘因としては精神療法,薬物療法その他の身体療法などの治療的要因から,社会的・心理的要因,体質的要因などが認められる。またLandolt16)が側頭葉てんかんにおいて指摘したforcierte Normalisierungという現象,木村12)が非定型精神病において認めた「シーソー現象」(seesaw phenomenon)などでは,精神症状と脳波異常がたがいに拮抗的に出現している。このような症状移動の現象は心身統一体としての個体が維持しようとする恒常状態のいくつかの断面として把握でき,たんに特殊な患者にみられる特殊な現象ではなく,病んでいる人間の示すさまざまの症状として理解すべきものと考えられる。
 本論文においてとくにヒステリー患者をとりあげようとしたのは,ヒステリー患者では症状が身体化し易いことや,心身症的疾患を合併したり,心身症がヒステリー的な傾向を示す場合がしばしばあり,ヒステリーと心身症のあいだに移行を起ここし得るような何らかの深い関連があるように思われるからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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