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文献詳細

雑誌文献

精神医学17巻7号

1975年07月発行

文献概要

研究と報告

Gilles de la Tourette症候群の1症例

著者: 西田博文1 倉光正之1

所属機関: 1倉光病院

ページ範囲:P.727 - P.736

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I.はじめに
 1884〜5年,Gilles de la Tourette42)は,『反響言語と汚言を伴い,運動の協同失調を特徴とする神経疾患に関する研究』という標題のもとに,自験例6例を含む計8例の症例をひとつの症候群として,当時の舞踏病(chorée)から分離し,報告した。これは,通常7〜9歳ごろ,顔面,首,肩などに始まった反復性の不随意動作が,漸次四肢,体幹など全身にひろがり,しかも反響症状や汚言を伴うことが多い,というものである。のちに,これがGilles de la Tourette症候群(以下,Tourette症候群と省略する)と呼ばれるようになったのであるが,類似の名称としては,myospasia convulsiva,maladie des tics(convulsifs),tic général,Tic-Krankheit,mimische Krampfneurose,tic syndromeなどがある。
 Tourette症候群の出現頻度は,まれだといわれる。Ascher, E. 1)は,Henry Phipps Psychiatric Clinicにおける約9千人の入院患者と5万人の外来患者のうち,本症候群の患者はわずか4人にすぎなかったと述べ,またFriel, P. B. 10)によると,1935〜1965年の30年間にMajo Clinicで本症候群の診断をうけたものは,ただの7人であったという。なお,これまでに英語での発表は85例あり(Fernando, S. J. M. 9),1967),あるいは1900年以来132例の報告例を見出した(Lucas, A. R. 20),1970)ともいわれる。わが国においては,われわれの知る限り,飯尾と丹下14),白川41),西浦と広田30)による3編があるのみであり,また学会での報告も若干12,18,31)みられるにすぎないようである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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