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紹介
—J. A. Whitehead 著—“Psychiatric Disorders in Old Age—A Handbook for the Clinical Team”
著者: 清水信1
所属機関: 1慈恵会医科大学精神神経科
ページ範囲:P.765 - P.770
文献購入ページに移動 精神科領域に限らず,ほとんどあらゆる臨床科において老人患者の比率は増加の一途をたどり,入院患者でもこの傾向は強まっている。社会成員の老年化がわが国より早くから進行している西欧諸国では,こうした傾向はさらに顕著であり,とくに慢性の老人患者によって病床の大きな部分が占められ,回転率が低下し,入院治療が必要な人びとを入院させようにもベッドがないという深刻な事態が起こったことは周知のとおりである。こうした現象はとくに精神科医療の面で著しく,たとえば英米では精神病院での老人在院者の比率は一般人口における老人比率の2〜3倍にも達し1),またイングランドとウェールズにおける精神病院での65歳以上の老人在院患者の比率は1950年から1960年の10年間に27.4%から36.7%にも増加し老年人口の増加をはるかに上まわっており2)、このまま放置すれば遠くない将来精神病院のベッドのほとんど全部が老人によって占められてしまうという容易ならぬ状況が生じた。
このような事情を背景として,入院中心主義の医療に対する反省が起こり,入院期間の短縮化,地域内医療・介護の充実がはかられ,同時に各所で老人精神医学の目ざましい展開がみられたのはむしろ当然の帰結であった。本格的な老齢化社会の到来をむかえて,前記のような西欧諸国のわだちを踏まないためにも,これらの国々のたどった道程から多くを学びとることはわれわれにとってひとつの義務といってよい。
このような事情を背景として,入院中心主義の医療に対する反省が起こり,入院期間の短縮化,地域内医療・介護の充実がはかられ,同時に各所で老人精神医学の目ざましい展開がみられたのはむしろ当然の帰結であった。本格的な老齢化社会の到来をむかえて,前記のような西欧諸国のわだちを踏まないためにも,これらの国々のたどった道程から多くを学びとることはわれわれにとってひとつの義務といってよい。
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