文献詳細
研究と報告
一卵性双生児の一方にみられたDepressive Characterの1例
著者: 西川祐一1 山口隆1 大森淑子1
所属機関: 1医療法人青山会・青木病院
ページ範囲:P.807 - P.814
文献概要
ある日米混血の女子学生が,短期間のうちに3回服毒自殺をはかった。彼女はふだん明朗活発な子として知られており,自殺企図の動機をさぐっても,取るに足らぬようにみえる,些少な動機がわずかばかり発見できただけであった。彼女を死に追いやろうとしたのは,一体何だったのであろうか。この素朴な疑問が,この女子若年患者との短期精神療法的な治療関係の中で絶えず,治療者の心の片隅に留まっていた。
まもなく,患者には外見の非常によく似たふたこの妹のいることがわかった。治療者はこの妹と面接をするたびに,もしかしたら現在,自分の目の前にいる人が実は妹でないのではなかろうか,実は妹ではなくて患者自身が化粧を直し衣装を変えて出直してきたのではなかろうか,としばしば自問した。その後,卵性診断の結果,2人は一卵性双生児であることが判明した(表1)。
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