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研究と報告
Concussion Amnesia—その特異な一過性の記憶障害について
著者: 岡田文彦1
所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.857 - P.861
文献購入ページに移動I.はじめに
脳振盪の程度がごく軽度であれば,外傷直後,数秒間意識を失うか,あるいは単に目がくらむ程度かであるが,それに引き続く数時間患者はとりとめもない行動をしたり,同じことを何回も繰り返し,やや混乱した状態を示すことがある。この場合,程度の差はあるが意識の混濁が基盤にあると考えられている。したがって,この期間の出来事についての記憶は断片的であるか,あるいは何ひとつ残されないこともある。さらにこの記憶欠損は外傷以前に向かって広がってゆくがその程度はさまざまである1,10)。
ところで実際の臨床の場で,外傷を受けたと思われる直後にもまったく意識混濁を認めず,かつその後の数時間にわたって意識清明と思われるにもかかわらず,高度の記憶障害を認める症例に遭遇することがまれならず経験される。
脳振盪の程度がごく軽度であれば,外傷直後,数秒間意識を失うか,あるいは単に目がくらむ程度かであるが,それに引き続く数時間患者はとりとめもない行動をしたり,同じことを何回も繰り返し,やや混乱した状態を示すことがある。この場合,程度の差はあるが意識の混濁が基盤にあると考えられている。したがって,この期間の出来事についての記憶は断片的であるか,あるいは何ひとつ残されないこともある。さらにこの記憶欠損は外傷以前に向かって広がってゆくがその程度はさまざまである1,10)。
ところで実際の臨床の場で,外傷を受けたと思われる直後にもまったく意識混濁を認めず,かつその後の数時間にわたって意識清明と思われるにもかかわらず,高度の記憶障害を認める症例に遭遇することがまれならず経験される。
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