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雑誌目次

雑誌文献

精神医学17巻9号

1975年09月発行

雑誌目次

巻頭言

病識について

著者: 菅又淳

ページ範囲:P.894 - P.895

 精神病患者の治療やcareの上で,病識というものが限りなく重大な問題であることを,この頃痛感している。精神病理学の方面でも病識は重要なテーマで難かしい論議がなされているようであるが,practicalな臨床精神医学でも中心問題ともいうべき重要性を持っている。
 私はかつて「地域精神衛生活動(あるいは地域精神医療)は患者の病識との戦いだと思います」とある高名な先輩に話したことがあるが,つまり次のようなことなのである。近代精神科医療がopen-door principleとか,外来中心の医療とかいう理念のもとに,入院隔離,自由拘束による従来の医療に対して進められてきているが,地域精神衛生活動はこの哲学の実践にその重要な部分を持っている。さてこれを現実に実践しようとすると,まず第一につき当るのが,患者の病識不足の壁である。

展望

児童の精神分裂病

著者: 黒丸正四郎

ページ範囲:P.896 - P.906

Ⅰ.序文
 13歳(Despert, L. 6)),あるいは14歳(Hart-mann, K. 9),その他)以下の年齢で成人の分裂病と同様の精神症状がみられる時,児童の分裂病(Childhood Schizophrenia)と称している。もちろん,この場合の分裂病症状とはその命名者であるBleuler, E. の定義に従ったものであって,現実との生々しい接触を喪失した自閉的な思考や行動がみられ,それに伴って幻覚,妄想なども出現する精神病状態のことである。
 内因性精神病としての分裂病が児童期にみられるか否かという問題は,既に今世期の初めKraepelin, E. がDementia praecoxを記載して以来,精神医学界の関心事となり,たとえばDe Sanctis, S.(1905)はDementia Praecossimaを,また,Heller, T.(1908)はDementia infantilisを記載した。しかし,周知のごとく,これらの記載はKraepelin, E. の疾病概念に従って痴成ということに重点が置かれたため,今日の分裂病概念とはいささかその範疇が異なっており,同一に論ずることはできない。事実その後これらの症例はその剖見などから脳の器質性の変性所見が報告された。かくのごとくであるから,Bleuler, E. の概念に基づいて児童期の分裂病が記載されたのは1932年Potter, H. 17)が4歳もしくは6歳で発病した16例を報告したのに始まるといってよい。彼はこれらの症例に共通する病状として,(イ)環境からの逃避,(ロ)興味の喪失,(ハ)思考の障害,(ニ)疏通性の欠乏,(ホ)感情の鈍麻,(ヘ)奇矯な行動,の6つを挙げた。その他このように症状を列挙したものとしてBradley, C. 4)(1941)の報告があるが,それによると,(イ)孤立傾向,(ロ)孤立を犯されたときの亢奮,(ハ)白日夢,(ニ)奇矯な行動,(ホ)興味の喪失,(ヘ)退行機制,(ト)神経質の傾向,(チ)運動の不活発さ,の8点が指摘された。症状記載のみでなく,その病態を発病,経過,転帰をも含めて詳細に検討したものとしてはSsucharewa22)(1932)およびGrebeleskaja-Albatz8)(1934)の報告がある。前者は7歳から17歳までの107例,後者は3歳半から8歳までの22例について述べているが,それによると,急激に発病して急性の経過をとる急性型と,徐々に発病して亜急性もしくは慢性の経過をとる型のものとがあり,前者は主として年長児に多く,後者は主に年少児に多いとされており,これは今日の見解からみてもきわめて示唆に富む意見である。

研究と報告

山口県下Y島(離島)における精神医学的調査

著者: 柴田洋子 ,   向山孝太郎 ,   入江是清 ,   伊藤圭子 ,   金子耕三 ,   青木勇人 ,   村田穰也 ,   原田弘二

ページ範囲:P.907 - P.921

Ⅰ.緒言
 私どもの教室では,すでに昭和31年に埼玉県下の僻村2)において,近親婚の多い孤立的な地域を選択して精神障害者の発生状況について調査研究を行い,さらに引きつづいて何回か,いくつかの地域で同様の調査を行ってきた。その主目的は遺伝学的な見地にたつものであった。しかし,僻地とはいえ陸つづきであるこれらの地域は,すでに昭和30年代は日本全土開発の途上にあり,孤立的な条件も不充分であったため,若干の知見は得られたが,とくに主要精神障害の発現と遺伝の関係を明確になし得なかった。八丈島調査1)についても然りである。そのため,さらに文化的にも素朴な,隔離条件のきびしい地域として山口県「八島」を見出し昭和37年と昭和48年の2回にわたって精神医学的調査を行った。その結果を一括してこの機会に発表する。なお,同地域の犯罪生態学的な研究結果についてはすでに他誌5)に発表している。

強迫者の心理と「縁起かつぎ」の心理

著者: 久保信介

ページ範囲:P.923 - P.928

Ⅰ.はしがき
 本論文は「縁起かつぎ」の心理(常態心理)から強迫神経症者を中心に強迫者の心理を考察することが主題である。強迫現象は,それが軽症の場合は,正常な心理状態と区別し難く,強迫現象としての常態心理と病態心理は移行していることが知られている1,2)。しかし一方,重症になればなるほど,強迫はその人間全体を囚えてしまって,病者の生活には,もはや一切の自由というものが許されないほどになる。その様相は一見,末期状態における分裂病のような感を抱かせる2)。一般的にいうと常態は,病態を通して論じられることが多く,また病態は常態を通して論じられることは少ない。その故に常態と病態が移行する様相が不明瞭になり,また病態がより以上に病的にとらえられる危険性があると思われる。とくに強迫現象はその危険が大きい。以下に述べる常態としての「縁起かつぎ」から強迫現象を考察するとき,その常態と病態の移行する様相,またより重症の一見奇妙とも見える病者の生活態度が,より明瞭な形で理解できるのではないかと思う。

てんかん患者にみられた精神分裂病様幻覚・妄想状態について—第2報 精神症状と発作,脳波変化との関連

著者: 山内俊雄 ,   木村直樹 ,   藤枝俊儀

ページ範囲:P.929 - P.938

I.はじめに
 てんかん患者の一部でみられるいわゆる"てんかん精神病"は急性にみられる精神病様状態(acute psychosis in epileptics)と慢性にみられる状態(chronic psychosis in epileptics)に分けて考えられること6)が多いが,これらは現象的にも発現機序の上からみても,いくつかの異なった種類のものが含まれているとの考え方が一般的であり,そのような観点からこれを分類し,その本態を明らかにしようとの試みがなされてきている。とくにLandolt15)は,てんかん患者にみられる慢性精神障害を,てんかん性病変とそれに対する周囲組織の反応の仕方から,異なる病態生理学的機序を考え,それぞれに応じて脳波の律動異常,限局性異常,強制正常化像(forcierte Normalisierung)の所見ならびに臨床像,治療上の問題点について述べている。
 しかしながら,実際の臨床場面においては各症例を厳密に区分することが困難な場合が少なくなく,また発作頻度や脳波所見が精神症状といかなる関連を有するのか,あるいはまた,それぞれの所見が何を意味しているのか判断に苦しむ場合が多い。この点に関してLandoltは,いくつかの原因が互いに関係しあっていて,しかも時によってそれぞれの原因の関与のしかたが異なるので,てんかんの精神症状はきわめて複雑なものとなり,精神病理学上も混合型であるのがふつうで,純粋型は例外的でさえあると述べている15)

重度精神発達遅滞と周期的気分変調を伴ったKlippel-Feil症候群の1例

著者: 末光茂 ,   江草安彦 ,   末丸紘三 ,   黒田邦彦 ,   守谷節夫

ページ範囲:P.939 - P.946

I.はじめに
 Klippel-Feil症候群は,1912年Klippel & Feilによる46歳男子の報告に始まり,現在までに欧米では460例以上の報告がある。わが国でも,手元の文献によると104例1〜79)にのぼるが,多くは整形外科領域からの報告であり,精神神経科領域からの報告43,50,52,59,60,71)に乏しい。
 われわれは,単なる精神薄弱児と考えられていた男子で,青年期に運動障害と周期的気分変調が明らかとなり,精査の結果Klippel-Feil症候群と診断された1例を経験したので報告する。あわせて本症の示す精神神経症状に関して,若干の文献的考察を加えたい。

多飲により水中毒を起こした躁うつ病の1症例

著者: 大宮司信 ,   塚本隆三 ,   伊藤直樹 ,   原岡陽一

ページ範囲:P.947 - P.952

I.はじめに
 心因性に多飲,多尿を呈する状態は「心因性多飲症(Psychogenic polydipsia)」の名称でよく知られている。症例のなかにはかなり大量の水分を摂取する場合もあるが,急激で大量の水分摂取は悪心,嘔吐をはじめとする不快な症状をもたらすため,ほとんどがこうした症状の出現まででやめてしまい,さらに進んで水中毒に至るまで摂取しつづけることはまれである。最近われわれは精神症状の増悪から過度の飲水をし,ついには水中毒の症状を呈するに至った躁うつ病の1症例を経験し,種々の検索を行い得たので,若干の考察を加えてここに報告する。

二重盲検法によるTPN-12とThioridazineの精神分裂病に対する薬効比較

著者: 市丸精一 ,   工藤義雄 ,   奥西孫市 ,   広崎康尚 ,   高橋幸彦 ,   徳永五輪雄 ,   藤木明 ,   高橋幸也 ,   吉田計夫 ,   矢ケ崎明美 ,   西沼敬次 ,   谷野志隆 ,   中野志郎

ページ範囲:P.953 - P.966

I.はじめに
 1952年,DelayとDenikerらがchlorpromazineの内因性精神病患者に対する臨床報告をして以来,数多くのphenothiazine系の向精神薬が開発され,有効な治療手段となっている。phenothiazine系の薬剤は 1)dimethylamine側鎖を有するもの―chlorpromazine,promethazineなど。2)piperazine側鎖を有するもの―perphenazine,fluphenazine,prochlorperazineなど。3)piperidine側鎖を有するもの―thioridazine,mepazineなどの3群に分類される1)。そして,これら3群の薬剤はその構造式にしたがってそれぞれ共通した作用の特徴をもっている。たとえば,piperidine側鎖をもつ向精神薬は一般に作用が穏和であるとされ,その代表的な薬剤であるthioridazineは効果が穏和で,作用スペクトルが広く,副作用も弱いことから現在も多くの精神科医に繁用されている薬剤の一つである。
 今回われわれはこのthioridazineの生体内代謝過程における酸化物で10-〔2-(1-methyl-2-piperidyl) ethyl〕-2-methylsulfonyl phenothiazineの構造式(図1)を有するTPN-12を二重盲検法によりthioridazineと比較した。TPN-12はthioridazineと同じpiperidine側鎖を有し,上記 3)の薬剤に分類されるが,その作用はthioridazineに比較して速効性で作用も強いという。こういった同系の薬剤を比較するには,十分に管理された二重盲検法によることが最適であると考え,pilot試験を行い数回にわたる会議の後,試験を実施して以下の成績を得たのでここに報告する。

Perlapine(Hypnodin)が睡眠に及ぼす影響のポリグラフィ的研究

著者: 上田肇 ,   小椋力 ,   内田又功 ,   古賀五之 ,   中村一貫 ,   赤松哲夫 ,   中沢和嘉 ,   田中潔 ,   与儀英明 ,   大熊輝雄

ページ範囲:P.967 - P.973

I.はじめに
 Perlapine(Hypnodin)――6-(4-methyl-piperazinyl) morphanthridineは,新しい睡眠薬としてスイスWander社で開発された薬物で図1の構造式をもつ。
 本剤は各種薬理試験の結果,鎮静・睡眠,barbiturate睡眠の増強,条件回避反応抑制などの作用を有し,一方カタレプシー惹起作用や静穏・馴化作用はほとんど示さないといわれている。また臨床試験では睡眠障害,とくに睡眠持続障害に有効であるとされ(阿部ら1),1971),睡眠脳波に及ぼす影響についてはREM睡眠期の減少,徐波睡眠相の増加などが報告されている(森ら8),1970;Allenら2),1973)。

古典紹介

—Karl Birnbaum—Der Aufbau der Psychose

著者: 千谷七郎

ページ範囲:P.975 - P.991

1.臨床総論的現象としての構成
 「精神疾患の構成」(Birnbaum)は単に偶然に本叢書の精神病理学総論の部に直接接続されて,同時に臨床各論の先頭に立っているだけではない。むしろ本質的にそうあるべき性質のものであったのである。構成的考察は本来総論部から各論部への移行を媒介し,両者の繋ぎをなすのだから。構成考察は精神病理学総論的性質の非独立的な部分像や個別像から,臨床的全体性や統一性の複雑な独立的形成へ直接的に導く。この意味における構成というのはしたがって一つの精神医学的中間概念訳注)である。もっとはっきりいえば,精神病理学総論的(症候や症候群の)諸概念や臨床各論的(疾病の)諸概念とは反対に臨床総論的一概念(ein allgemein-klinischer Begriff)である。それは原則的には,臨床的経験から提出される合成的諸形成に関係し(したがってそれを前提にするので),かの単なる精神病理学総論的所与を越えて,より高次の(臨床的)構造に進入するとき初めて問題になることでもある。構成が係わる構造とはどんな種類のものなのか,あるいはあらねばならないかは,それ自体予め確定されていないし,また確定されるべきものではなくて,むしろ臨床をそのような高次的合成の形成として考察するとき臨床がきわ立たせているもの,臨床を理解し,評価するとき臨床が特に重点をおいているものに係わってくることである。歴史的に作り出され,現在も一般に決定的と承認されて,将来に対しても道標と認められるような臨床疾病論的立場にとって,疾病形態こそ本質的に,臨床医学が構成考察に苦労しなければならないあの合成的全一性と統一性とを提供するものである。もし今後の臨床的発展がその他の,例えば臨床的反応形態の形式に見られる如き—特にまとまりの乏しい—臨床単位や,あるいは状態や経過の組み合わせに従う如き,包括性に乏しい臨床単位に導くようなことになったとしても,例えば構成的考察を止める理由はそれ自体としては存在しない。その際は組み合わせについて観点の無論それ相応の変更が企てられなければならないだろうから。
 いずれにしてもここでは,臨床的によく承認されて,科学的にも実地にも最も重要な,高次合成の精神医学的単位像としての疾病形態のみ取り上げるので,専ら精神疾患の構成を取り扱うだけである。精神疾患というのは—前以て原理的観点を確立しておくならば—例えば実地的目的のためにととのえられた型とか,あるいは単なる蓋然的虚構に従って科学的に案出された組立てのためにととのえられた型などと見るべきではなくて,むしろ自然科学的・経験的性質をもつ現実の所与である。しかも精神疾患とは,臨床現象の,特性と成行きから見て規則的に反復し,それ故に内的聯関と共属性とを指示するまとまった諸系列であって,その臨床的諸現象はある種の(多少に拘らず確実に証明されうる)特殊な動因(Agens)に規則正しく所属することによって単位的に惹起されていることが示されるものである。これによって私どもは決して既に以前から(Hoche),そして特に最近Bumkeによって切実に臨床全域のこの承認されている中核現象に対して挙げられた原則的且つ経験的な反駁の意味を見誤るものではない。就中,この疾病論的諸単位はそれを臨床的に利用し,体系的に貫徹するとき役に立たないことが度度であること,更に構成的疾病諸要因の多様な非特異性,個々の疾病単位の雑多な合成(外因性成分と内因性成分との),決定的病因的要因さえもの外見上の非特異性,そして最後に,疾病過程外にあって患者個人内に前以て準備されてあった諸形成が疾患複合に関与することなどの反駁が挙げられていた。しかしこれら反駁の全ても(またここに挙げないその他の反駁も),私どもが「精神医学的疾病定立の検討」の中で詳論し,基礎づけとしておいた如く,この真の,自然法則的に確認された複合的臨床的単位としての疾病形態を簡単に放棄するには足りないと思う。私どもとしてもこれらの疾病形態はなお本質的な変更を必要とすること,そして何を措いてもそれらの今までに数多く具体的に特殊規定された諸部分や,固く輪廓づけられた硬直的諸形態などは,もっと一般的なまとまりと,より広範な把捉に代らなければならないだろう,ということは告白するにしてもである。

動き

国際協力による精神分裂病に関するパイロット研究—WHO

著者: ,   ,   ,  

ページ範囲:P.993 - P.998

 この研究プロジェクトはWHOによって始められ,WHO,アメリカ国立衛生研究所,および参加した研究センターによって実行された。本研究の協力研究者は次のとおりである。
 コロンビア:C. Leon,G. Caldelon,E. Zambrano

資料

断酒会の社会精神医学的研究(その1)—関東・東海・甲信越の断酒会の活動状況調査をもとにして

著者: 中村希明 ,   東野忠和 ,   霜田一男

ページ範囲:P.999 - P.1006

I.はじめに
 最近アルコール中毒の新しい治療方式として,断酒会を治療システムに組み入れた試みがふえ1〜5),回復者グループである断酒会の集団治療効果が注目されてきているが,断酒会の実態についての報告は数が少ない6〜9)。現在全国に最大の組織をもち,活発な臨床活動を行っている全日本断酒連盟(全断連)は東京,高知でそれぞれ発展してきた2つの断酒会が昭和38年に合併して初めて全国組織を結成し,当時支部数6,会員数400にすぎなかったものが,昭和49年5月では,傘下断酒会110,支部数500,会員数30,000,全国42県は北海道,東北,関東,中部,東海,近畿,中国,四国,九州の9ブロックに分かれその下に県連合会,さらにその下に市町村断酒会が属する巨大組織に発展した。しかしながら後進地区では県連合会をもつまでに組織化が進行しておらず,いわば,全断連自体が組織化の過渡期にあるので,その下にあってめまぐるしく統合,新生と活溌な新陳代謝を繰り返している市町村単位断酒会の活動の実態を正確に把握することは,会本部はおろか県支部段階でも困難である。全断連は広報普及より,酒害相談や例会活動など,直接患者のアフター・ケアにつながる実践活動に重きをおく行動型集団としての特徴がある。川崎市精神衛生センターでは昭和46年からアルコール中毒対策の一環として川崎断酒新生会育成と組織化をすすめ,断酒会を治療システムにとり入れた外来治療10)を併せ行ってきたが,昭和48年6月に同会の担当で行われた第5回関東,東海,甲信越ブロック大会を利用して,同地区断酒会の活動状況のアンケート調査を行った。そこでこれに各本部の訪問調査を併せて,その結果を報告し考察を加える。

追悼 竹山恒寿先生を偲ぶ

略歴と主な業績

著者: 高橋義人 ,   吉岡博之

ページ範囲:P.1007 - P.1008

 昭和50年5月19日,竹山先生は,湘南病院の一室で永眠されました。昭和46年5月に,慈恵医大で直腸癌の手術をなさってから,丁度4年の経過でした。
 先生は,明治43年9月21日に東京の本郷で御出生。昭和9年3月に慈恵医大を卒業されました。医科大学在学当時より,森田正馬教授の門を叩き,昭和16年5月から,森田先生亡きあとの森田神経科病院長に就任され,昭和20年3月に同院が戦災で焼失したため退任されました。

教授・竹山恒寿君を偲ぶ

著者: 高良武久

ページ範囲:P.1008 - P.1009

 昭和50年5月19日,教授竹山恒寿君が長逝し,我国のすぐれた精神医学者の一人が失われた。惜しみても余りあることである。
 君は慈恵医大の学生時代から森田正馬先生の門に出入し,先生の最晩年の門弟であり,先生は君を末っ子を愛するようにして導いておられたが,君は後年先生の衣鉢をつぐ医学者として大きく生長したので,よく恩師の愛顧に酬いたといわなければならない。

海外文献

Duration of Hospitalization for Alcoholism

著者: 江藤幹夫

ページ範囲:P.1010 - P.1010

 入院期間の長短が社会適応状態に異なった影響を及ぼすかどうかを調査した。
 入院歴5回以下で重篤な身心疾患のない58名の男子患者を無作為に均質な2群に分け,D群はdetoxificationだけを入院の目的とし,平均在院日数は9.31日。TR群はdetoxificationおよび25日間の広範な環境治療プログラムが施行された。平均在院期間は30.45日。両群とも退院後に地域の医療サービスが受けられるよう諸機関と連絡がとられた。

基本情報

精神医学

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-126X

印刷版ISSN 0488-1281

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