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研究と報告
山口県下Y島(離島)における精神医学的調査
著者: 柴田洋子1 向山孝太郎1 入江是清1 伊藤圭子1 金子耕三1 青木勇人1 村田穰也2 原田弘二3
所属機関: 1東邦大学医学部精神神経科教室 2西城病院神経精神科 3大竹新生病院
ページ範囲:P.907 - P.921
文献購入ページに移動私どもの教室では,すでに昭和31年に埼玉県下の僻村2)において,近親婚の多い孤立的な地域を選択して精神障害者の発生状況について調査研究を行い,さらに引きつづいて何回か,いくつかの地域で同様の調査を行ってきた。その主目的は遺伝学的な見地にたつものであった。しかし,僻地とはいえ陸つづきであるこれらの地域は,すでに昭和30年代は日本全土開発の途上にあり,孤立的な条件も不充分であったため,若干の知見は得られたが,とくに主要精神障害の発現と遺伝の関係を明確になし得なかった。八丈島調査1)についても然りである。そのため,さらに文化的にも素朴な,隔離条件のきびしい地域として山口県「八島」を見出し昭和37年と昭和48年の2回にわたって精神医学的調査を行った。その結果を一括してこの機会に発表する。なお,同地域の犯罪生態学的な研究結果についてはすでに他誌5)に発表している。
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