文献詳細
研究と報告
文献概要
Ⅰ.
私が現在,この古くしてまた,新しい問題を再び取り上げようとするのは,この問題が数多くの研究者によって,ほとんど語り尽くされているにもかかわらず,種々の臨床的知見に対して力動的精神医学の見地からは充分な説明がなされているとはいえないと考えられるからである。
現在までの諸家の意見を総合すれば,その大勢は,精神分裂発病が内因性疾患であり,発病契機はその誘因にすぎないにしても,何らかの意味を持っているとする見方であると思う。一般に非特異的な契機として,身体疾患,伝染病,過労,戦争体験,経済的困苦などがあげられるが,これは,精神分裂病の発病に特異な要因ではなく,現在私が問題としようとしているものではない。しかしながら,これらの指標をこえて,より以上に分裂病の力動の構造を示す契機を問題にしようとすればそれは,やはり精神療法的接近の経験をもった人々の間にみられた意見に現れたものを取り上げねばなるまい。
私が現在,この古くしてまた,新しい問題を再び取り上げようとするのは,この問題が数多くの研究者によって,ほとんど語り尽くされているにもかかわらず,種々の臨床的知見に対して力動的精神医学の見地からは充分な説明がなされているとはいえないと考えられるからである。
現在までの諸家の意見を総合すれば,その大勢は,精神分裂発病が内因性疾患であり,発病契機はその誘因にすぎないにしても,何らかの意味を持っているとする見方であると思う。一般に非特異的な契機として,身体疾患,伝染病,過労,戦争体験,経済的困苦などがあげられるが,これは,精神分裂病の発病に特異な要因ではなく,現在私が問題としようとしているものではない。しかしながら,これらの指標をこえて,より以上に分裂病の力動の構造を示す契機を問題にしようとすればそれは,やはり精神療法的接近の経験をもった人々の間にみられた意見に現れたものを取り上げねばなるまい。
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