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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻1号

1976年01月発行

文献概要

研究と報告

欲眠を呈したうつ病の1例

著者: 上島国利1 菊野恒明1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.51 - P.57

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Ⅰ.緒言
 ねむりは本能的行動であるが単なる生理的現象ではなく,個人の持つ習慣,環境,心理状態によりその発現が様々な影響を受ける,より人間的な現象である。多くの精神障害において睡眠の異常は,不眠の型をとり,特にうつ病においては,不眠がきわめて高頻度にみられる。一方睡眠増進(hypersomnia)ないし嗜眠(Schlafsucht)は,間脳領域の破壊,動脈硬化,嗜眠性脳炎などの器質的疾患,Kleine-Levin症状群,Pickwickian症状群,ナルコレプシー,神経症(回避反応,擬死反射),内因精神病の一部,などの機能的疾患でみられるが,うつ病においてはきわめて稀な現象とされている。
 我々は,うつ病に伴った睡眠増進現象のみられた1症例を経験した。現在までの文献的考察に加えて,この症例にみられた睡眠増進現象発症の状況,その意味について考察したのでここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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