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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻10号

1976年10月発行

文献概要

研究と報告

社会的側面からみた心気症の発病状況—うつ病との対比

著者: 東村輝彦1 神谷重徳2

所属機関: 1京都第一赤十字病院精神科 2関西医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.1053 - P.1057

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I.はじめに
 われわれ1)は,先に神経症の比較精神医学的な調査を行ない,心気症を,うつ病とともに現代の社会の動きをなんらかのかたちで反映する病像であると考えた。そして,その社会的背景として「未来に期待を持ち得ない状況」と「攻撃性を抑圧せざるを得ない状況」という2つの要因を指摘し,それにつき若干の見解を述べた。今回は,心気症の発病状況を,社会的側面から,うつ病の発病状況と比較検討するのが目的である。うつ病の発病状況については,いろいろな視点からの検討がなされているが,われわれもまた,笠原ら2)が指摘する職業生活上の変化,家族構成における変化,居住状況の変化などが重要なことを知っている。仮に,このような変化を空間的配列の変化として把えるならば,心気症者の周辺にはそのような変化があまりにも少なく,またあったとしても発病に関与しないことに気付く。それらの点に関して症例をあげて若干の考察をこころみたい。症例は山田赤十字病院在職中の症例である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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