文献詳細
文献概要
研究と報告
分裂病様症状と脳波異常を伴う尋常性魚鱗癬の1例
著者: 根岸達夫1 中山宏2 日下部康明2
所属機関: 1足利富士見台病院 2群馬大学医学部精神神経科教室
ページ範囲:P.1071 - P.1075
文献購入ページに移動尋常性魚鱗癬(Ichthyosis vulgaris)は遺伝性皮膚疾患で,時に精神神経症状を伴うことが知られている。尋常性魚鱗癬に精神神経症状を合併した症例としては,1927年Rud1)によってけいれん発作を伴ったものが初めて報告され,その後尋常性魚鱗癬,精神薄弱およびてんかんの3徴候を有するものをRudの症候群と称している。一方1939年Laubenthal2)は尋常性魚鱗癬の21家系458人を調査して,合併症として循環性の精神障害と精神薄弱が特に多く,やせ,肥胖,糖尿病などの内分泌障害もみられたと述べた。本邦でも鳩谷3)(1953),井上ら4)(1958),松本ら5)(1963),村上6)(1966)の報告がある。またSjögrenとLarsson7)は1957年先天性魚鱗癬に精神薄弱と痙性対麻痺を伴った28例を報告した。その後同様な一連の症状を示す症例はSjögren-Larsson症候群として報告されている。
われわれも強迫症状,不潔恐怖,無為自閉,不関など特異な精神症状と脳波異常を伴った尋常性魚鱗癬の1例を経験したので報告する。
掲載誌情報