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研究と報告
慢性アルコール中毒患者にみられたペラグラ—14例の臨床および病理所見
著者: 石井惟友1 西原康雄1 堀江昭夫1
所属機関: 1鞍手共立病院
ページ範囲:P.1077 - P.1086
文献購入ページに移動慢性アルコール中毒患者にみられる神経疾患としては数多くのものが知られているが,そのうち病理学的に比較的はっきりした特徴のみられるものには,Wernicke-Korsakoff syndrome,Cortical cerebellar degeneration,Central pontine myelinolysis,Marchiafava-Bignami disease,Pellagra,Peripheral neuropathyなどがある1〜6)。これらは患者の食餌摂取の不十分,慢性胃炎その他の胃腸障害による栄養不足,特に種々のビタミン欠乏を来し,その二次的な脳神経障害と考えられている。また慢性アルコール中毒患者は,頭部外傷を受ける機会も多く,慢性硬膜下血腫を疑うことも忘れてはならない。憂に肝硬変をはじめとする種種の肝疾患も多く合併してみられhepatic encephalopathyも考えねばならない。
われわれは,福岡県筑豊地区において,過去8年間に,47例の慢性アルコール中毒患者の剖検を行なった。そのうち14例に特異的な臨床経過と脳病理所見を呈するものが見出され,これらはペラグラと思われるので,臨床および病理所見をあわせて報告する。
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