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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻10号

1976年10月発行

文献概要

古典紹介

—J. H. Jackson—Evolution and Dissolution of the Nervous System (Croonian Lectures, 1884)—第2講

著者: 越賀一雄1 船津登2 清水鴻一郎2 角南健1

所属機関: 1大阪医科大学精神医学教室 2大阪医科大学第一外科(脳外科)学教室

ページ範囲:P.1087 - P.1099

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 この講義の中で,附随的に私が述べたいことは,神経中枢に一つの階層制があるということであり,それが進化の理論と一致していると私は信じている。私はいつも神経系の形態学的区分,脊髄,延髄等々に従って神経中枢を配列してきたのである。ここで私はそれらを解剖一生理学的基礎の上に,特にその各々が身体,またはその一部分を表している間接性の程度に従って配列するのである。最も下等な,即ち最下位の運動中枢は,脊髄の前角であり,より高等なものとして頭部の運動神経のそれぞれの核がある。それらは最下位の脊髄の前角から眼筋の核へと拡がっている。それらは最下位の大脳の中枢であるとともに最下位の小脳の中枢でもある。従ってそれらの障害はそれらが表示(represent)している部分を中枢神経系全体から切断するのである。私はここでは小脳系のことにはふれない。最低中枢は最も単純で最も器質化された中枢であり,それぞれは身体のある限定された領域を間接に表示しているが,しかしそれは間接的というよりもほとんど直接的に表示しており,それらは表示するもの(representative)なのである。中間の運動中枢はFerrierの運動領域を形成する回転である。これらはより複雑であり,より器質化されておらず,身体のより広い領域を二重に間接的に表示しており,それらは二重表示的(rerepresentative)である。最高運動中枢はいわゆる運動領域の前方の回転である。ここで"いわゆる"と私がいうのは,長年にわたって脳の前頭部位全体が運動性,または主として運動にかかわっていると信じ,かつ主張してきたからである。
 原注1)「いろいろな事実からみて,脳の前方の部分は心の運動面に役立っており,後方の部分は心の感覚面にかかわっていると考えてよいであろう」―British Medical Journal,1869年。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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