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研究と報告
アルコール離脱症状としての振戦せん妄を発症した慢性アルコール中毒の1症例
著者: 小片寛1 小宮山徳太郎1 庄田秀志1 中沢信之1
所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.1191 - P.1197
文献購入ページに移動われわれはアルコール禁断症状の発現を長期のアルコール乱用の結果として経験的に理解してきた。しかも,禁断症状としては身体症状および神経学的症状に重点がおかれ,精神症状は禁断症状と推測されながらもなおacute alcoholic psychosesとして把握される傾向があった。更に,アルコール中毒の臨床診断基準の1つとして飲酒による家庭・社会生活における対人関係の破綻と逸脱行為が安易に使われてきた。
第1の問題については,近年わが国でもいわゆるalcoholic psychosesのいくつかがアルコール離脱による一過性の禁断現象であることが紹介されてきた10,15,19)。しかしなお,その認識が充分であるとはいえない。
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