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リチウムの副作用と中毒—機序,治療,予防
著者: 清水宗夫34
所属機関: 1オーフス大学精神科 2オーフス大学附属精神薬理学研究所 3東京医科大学精神科 4オーフス大学精伸薬理学研究班
ページ範囲:P.1221 - P.1228
文献購入ページに移動リチウム(Li)の薬理学,毒物学,臨床的使用などにおける関心は最近おどろくほど高まっている。この5年間をとっても,Liに関する生物学的,医学的文献は約2,000から4,000へとふえてきた。Liの治療と研究に関するいくつかの展望と分担執筆による2つの本が現在発行されている(Chazotら1972;Denikerら1972;Dufourら1972;Laboucariéら1972;Darcourt 1973;Dreyfussら1974;Pitonら1974;Schou 1974;Shopsin, Grshon 1974;Denikerら1975;Johnson 1975;Schou 1975;Sutterら1975;Tissot 1975)。この展望は次の諸点に問題をしぼった。即ち生体からのLiの排泄,中毒を予防することの重要性,即ちLiの副作用と作用機序,その治療と予防および他の薬物との相互作用などである。
Liの治療への応用はこれらの評論の範囲外であるが,薬物の薬理学や毒物学はその臨床的使用に照らして研究されなければならない。現在Liの臨床的使用に関しては,躁病の治療的使用と双極性,単極性を問わず再発を繰り返す躁うつ病の予防的使用との2つが十分に確立されている。その他反復する情動分裂病,一部のうつ病,病的情緒不安定,周期性の病的攻撃性,甲状腺中毒症,甲状腺癌(放射性ヨードとの併用で)などに対してもかなりよい結果が得られている。その他の精神科領域や精神科以外の使用についてはまだ十分に確立されていない。
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