文献詳細
特集 近代日本の宗教と精神医学
文献概要
Ⅰ.緒言
ヨーロッパでは精神医学の近代の歴史において,キリスト教が精神医学と多くの接点をわかちあっているが7),従来のわが国の宗教病理学では,宮本ら18)も指摘するように,土俗的・原始的信仰や迷信による土俗的な「もの憑き現象」を対象とした業績が多い(ここではそれらの系譜にはふれない)。
小田25)は文化史を主軸にすえて「狂気観」の変遷を追求し,9世紀のわが国のコンメンタールである「令集解」のなかに,「自ら聖と称し高賢と称する」もの,つまり宗教妄想による現実の否認を主にして「狂」の定義がなされていると論じている。
ヨーロッパでは精神医学の近代の歴史において,キリスト教が精神医学と多くの接点をわかちあっているが7),従来のわが国の宗教病理学では,宮本ら18)も指摘するように,土俗的・原始的信仰や迷信による土俗的な「もの憑き現象」を対象とした業績が多い(ここではそれらの系譜にはふれない)。
小田25)は文化史を主軸にすえて「狂気観」の変遷を追求し,9世紀のわが国のコンメンタールである「令集解」のなかに,「自ら聖と称し高賢と称する」もの,つまり宗教妄想による現実の否認を主にして「狂」の定義がなされていると論じている。
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