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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻2号

1976年02月発行

研究と報告

障害児のくり返し行為について

著者: 佐久間モト1

所属機関: 1徳島大学教育学部

ページ範囲:P.131 - P.143

文献概要

Ⅰ.まえがき
 乳児が,生まれて初めて物を掴むには,その背後に,何回もの失敗がある。立って歩き喋れるようになるには,何万回と同じ動作のくり返しが行なわれる。先天的にくり返し行為を欠如するならば,摂食などの基本的行動が成立しない。くり返し行為は,動物にとって,基本的行動であり,また不可欠のものであり,くり返すことによる結果として,ある行為が完成するものである。すなわち,くり返しの行為は,生産性を持つものである。
 ところが,障害児と生活をともにしていると,終日,ただ,ぶらぶらと身体をゆすり続けているような子供達が目立つ。そのくり返し行為によって運動としたり,体ゆすりの名演技者になるためではない。まったく生産性のない,このくり返し行為は,どう考えたらよいのであろうか。そして,子供達が,このくり返しの行為を始めると,学習も,訓練も妨げられてしまう。つまり,なにかを習得したり,熟達するためのくり返し行為とは,同じくり返しでも,明らかに異なった行為なのである。この子供達のような実りのないところのくり返し行為が,精神分裂病者に認められると,常同症と名づけられて病的所見のひとつとされてきた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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