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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻2号

1976年02月発行

古典紹介

—W. Kleine—Periodische Schlafsucht

著者: 遠藤正臣1 中川芙佐子1

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.191 - P.205

文献概要

 睡眠状態は種々の身体的ならびに精神的疾患で現れる。消耗性および熱性疾患や中毒,脳腫瘍およびその他の重篤な器質性脳疾患,特に脳炎の際の睡眠状態はよく知られている。比較的長く続く睡眠状態もまた二,三の代謝性疾患,たとえば糖尿病や肥満に稀ならず認められ,その際にすべての物質代謝が強く巻き添えをくっている。古い文献は既に数日から数週,数カ月更に数年も持続し,ヒステリー性の疾病表現と見なされうるような睡眠状態に関して報告している。比較的短い時間持続する睡眠状態はてんかんにつづいて観察される。1880年にGélineauがナルコレプシーの名前で短く持続する睡眠状態を記録し,それは独立せる疾患と見なされ,上に述べた身体的ならびに精神的疾患,なかんずくてんかんおよびヒステリーと無関係なものであると記した。この種の症例はGélineauの後もしばしば記載された。この膨大なる症例報告を整理するとナルコレプシーとして記載された症例の中には,Gélineauの意味での本来のナルコレプシーとは関係のない数多くの病態が発表されていることがたやすくわかるであろう。ナルコレプシーと名づけられた症例は,一部重篤な身体疾患の症状以上のものではなく,一部はてんかんやヒステリーの表現である。この混乱は大部分のところ,ナルコレプシーという名前が最も不幸なものであるということに原因しており,Gélineauが最初に記載した疾患をSingerの提案に従ってヒプノレプシーと名づけたほうがよいだろう。Friedmannがナルコレプシーの欠神と名づけた状態には,Sauerの提案に従って,ピクノレプシーという名前が用いられるべきであろう。
 それ故に,より高度な思考や意志の単純なる機能停止によって特徴づけられるが,規則的な刺激症状を欠いており,比較的頻回に現れ,単調にしてかつ一様に経過する放心状態として現れる,良好な予後をもつ症例をピクノレプシーの名のもとに人は理解するでしょう。そして,それら症例は痴呆や性格変化に至らず一般に思春期前に既に治癒し,てんかんと関係はない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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