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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻3号

1976年03月発行

文献概要

研究と報告

隠岐島の精神障害に関する比較文化精神医学的研究(第1報)

著者: 福間悦夫1 井上寛1 梅沢要一1 挾間秀文1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.261 - P.268

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I.はじめに
 Kraepelin, E. 8)は1899年内因性精神病を早発性痴呆と躁うつ病に分かつと同時に,文化的因子が精神病の発生頻度,症候学に影響を及ぼすのではないかと考え,1904年みずから,東南アジアにおける調査を行なったことは広く知られている。彼はその新しい分野を"Vergleichende Psychiatrie"と呼んで,現在における比較文化精神医学の基礎をつくった。
 そしてその後,同じ発想に基づく研究が各地域で数多く行なわれてきた。
 Pfeiffer15)(1971)は東アフリカ,東南アジアなどに妄想型分裂病は存在するが,妄想内容は超自然的なものが多く,文化が高度に発達した社会では妄想型分裂病に不安,抑うつなどの感情障害を主体にするものが多いと述べている。また,Katzら7)は,それぞれの文化的背景によって,症状に変化をもたらすことを述べ,またLambo, T. A. 9)は精神分裂病と境界線例の症状の比較文化的差異について,社会文化的因子が強力な場合,症候学上二次的加工をもたらし,精神病理学において決定的な地位を占めるある種の"症候群"を決定すること,この二次的加工は精神分裂病において特に著明になることを報告している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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