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研究と報告
青春期危機について(その2)—青春期において尖鋭化された情動病理の2型について
著者: 頼藤和寛1 清水将之1
所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科
ページ範囲:P.269 - P.275
文献購入ページに移動I.はじめに
前帳では,危機を一般的に論じ,人間存在の様相を危機という断面で捉えた構造を仮説的に提示し,それが青春期に強調される事情を述べた。
いかなる症例においても,経歴状況分析を詳細にすればするほど,危機構造は明瞭に浮き彫りにされてくるが,一方当然のことながら,どうしても了解しきれぬ残滓が遺される。これを,「内因性」とするか,個有の宿命や偶然に帰するか,あるいは人間性の神秘という不可触の型域として手をつけぬかは,観る者の世界観の問題になる。我我が為すべきことは,対象の人生をどこまで読み込めるか,どこまで人間性の地平内で了解の射程を伸ばしうるかという課題に取り組むことである。
前帳では,危機を一般的に論じ,人間存在の様相を危機という断面で捉えた構造を仮説的に提示し,それが青春期に強調される事情を述べた。
いかなる症例においても,経歴状況分析を詳細にすればするほど,危機構造は明瞭に浮き彫りにされてくるが,一方当然のことながら,どうしても了解しきれぬ残滓が遺される。これを,「内因性」とするか,個有の宿命や偶然に帰するか,あるいは人間性の神秘という不可触の型域として手をつけぬかは,観る者の世界観の問題になる。我我が為すべきことは,対象の人生をどこまで読み込めるか,どこまで人間性の地平内で了解の射程を伸ばしうるかという課題に取り組むことである。
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