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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻3号

1976年03月発行

文献概要

研究と報告

アルコール中毒者の心理テストによる要求水準と性格特性ならびに予後評定との関連について

著者: 葉賀弘1 谷直介1 加藤伸勝1

所属機関: 1京都府立医科大学精神神経科教室

ページ範囲:P.293 - P.301

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I.はじめに
 過度の問題飲酒による結果アルコール中毒と診断され,通院あるいは入院治療を受けるという事実は,その個人にとっては人生の一時期における失敗体験として認知されるが,同時に治療を求めることは失敗体験からの脱出試行とも考えられる。
 多くの治療中のアルコール中毒者は,全く病識を欠く者は別として,健康時の生活状態を再獲得するために,また再び失敗をくり返さないためにも断酒という目標に向かって勢力しようとする傾向と,なおも酒との繋りを求めるが,アルコール中毒には陥らないように適度に飲酒し,断酒は避けたいと望む傾向とがあり,この相反する両傾向が拮抗し合う迷いEntschlusslossigheitの状態にある。Lewin, K. 10)は成功を求める力,失敗を避けようとする力は,個人の過去の成功,失敗体験,願望と不安,集団の標準,文化および性格などによって規定されると述べている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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