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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻4号

1976年04月発行

研究と報告

Flashback Phenomenonについての考察—シンナーにより精神症状を呈した6症例を中心に

著者: 中村希明1 小口徹2

所属機関: 1川崎市精神衛生相談センター 2北里大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.407 - P.414

文献概要

I.はじめに
 薬物乱用の主剤が睡眠剤や穏和精神安定剤から,LSD,Marihuana,シンナーなどの幻覚剤に移るにつれて,いわゆる禁断症状のないとされた幻覚剤にも,中断後ときに特異な精神症状を呈するものがあることが注目されるようになった。その一つに幻覚剤中断後に一定の期間をおいて,使用時と同じような幻覚の再現をみるflashback Phenomenon(以下flashbackと略称)がある。また最近Victor39)どによるalcohol withdrawal syndromeの知見から,本来幻覚剤についてのみ用いられたflashbackがアルコールによる中毒精神病においても認められるとする考え方もあり,現在flashbackの定義の再検討が必要な段階にさしかかっている。
 Flashbackは当然幻覚剤の作用の強弱に影響を受け,作用の強いLSD乱用者の88.3%に認められるとする報告もあり2),かなり頻度の高いものである。しかしLSDより幻覚作用の弱いMarihuanaでは5〜10%と頻度が低くなり,他剤の嗜癖と重なってはじめてflashbackを起こすものもある。更に作用が弱い有機溶剤では,わが国では現在のところflashbackに焦点を合わせた報告は見当らない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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