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シンポジウム 大都市の病理と精神障害—東京都精神医学総合研究所第2回シンポジウムから
研究方法の視点をめぐって
著者: 大橋薫1
所属機関: 1明治学院大学社会学科
ページ範囲:P.464 - P.470
文献購入ページに移動Ⅰ.精神障害の社会病理的性格
精神障害(mental illness)の規定については,まだ定説がないらしい。門外漢の筆者にとっては,この点に立ち入る資格も能力もないが,要するに,精神障害とは,平たくいえば,「人びとの精神作用が損なわれて,思考や情動におくれが生じたり歪んだり不安定になった状態」であるといえよう。つまり「人格の構造や機能の損ないや歪み」の問題なのである。社会病理学では,このような状態を「人格解体(personality disorganization)」と呼んでいる。
この人格解体は,それ自体が社会病理―厳密には個人病理―の第二の側面なのであるが,精神障害の社会病理性は,それだけではすまない。精神障害の発生過程や予後における歪みが問題なのである。即ち,発生過程における歪みについていえば,精神障害には,一部の精神薄弱を除けば,生まれつきというものはない。それに親和的な素質の遺伝はあるにしても,障害そのものの遺伝は,極めて限られる。問題なのは,後天的な環境であり,この「歪んだ生活環境」とこの「環境とのかかわり合いにおける歪み」が,精神障害の社会病理の第二の側面である。
精神障害(mental illness)の規定については,まだ定説がないらしい。門外漢の筆者にとっては,この点に立ち入る資格も能力もないが,要するに,精神障害とは,平たくいえば,「人びとの精神作用が損なわれて,思考や情動におくれが生じたり歪んだり不安定になった状態」であるといえよう。つまり「人格の構造や機能の損ないや歪み」の問題なのである。社会病理学では,このような状態を「人格解体(personality disorganization)」と呼んでいる。
この人格解体は,それ自体が社会病理―厳密には個人病理―の第二の側面なのであるが,精神障害の社会病理性は,それだけではすまない。精神障害の発生過程や予後における歪みが問題なのである。即ち,発生過程における歪みについていえば,精神障害には,一部の精神薄弱を除けば,生まれつきというものはない。それに親和的な素質の遺伝はあるにしても,障害そのものの遺伝は,極めて限られる。問題なのは,後天的な環境であり,この「歪んだ生活環境」とこの「環境とのかかわり合いにおける歪み」が,精神障害の社会病理の第二の側面である。
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