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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻5号

1976年05月発行

研究と報告

薬物療法下における分裂病者の異常体験の消退過程と心身の不全感

著者: 清田一民1

所属機関: 1熊本大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.501 - P.508

文献概要

I.はじめに
 向精神薬療法が導入されてから,分裂病の状態像は,かなり好転1)したが,完全寛解率は不変で,不全寛解ないし病型の変化15)または不全症状群13)の増加を指摘する報告が多い。一方,薬原性精神障害6)または行動毒性4)が指摘されている。従って,薬物療法下における不全寛解の病像を明確にすることは,今後の向精神薬の標的症状の問題とからんで,治療上,重要であるだけでなく,一級症状16)といわれるような人目につき易い症状が比較的速く消退し,分裂病の生物学的“基底症状群”(Basis-syndrome)7)が露呈するため,その基礎障害へ近づく上でも重要である。そこで,比較的長期入院の分裂病者について,異常体験の消退する過程を詳細に追跡し,その底辺の軌跡へ接近を試みた。その結果,基底段階に残る情意減弱を主徴とする残遺状態には,受動的にしか訴えられないので,あまり目立たない〈心身の不全感〉が,かなり重要な関連を持っていることが明らかになった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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