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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻5号

1976年05月発行

研究と報告

Wilson氏病の精神症状について

著者: 榎本貞保1 松下兼介1 松本啓1

所属機関: 1鹿児島大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.519 - P.525

文献概要

I.はじめに
 Wilson氏病は,遺伝性代謝疾患であり,本疾患には生化学的所見として血清ceruloplasminの低下,血清銅の低下,あるいは,尿中銅排泄量増加があり,また,肝,脳,腎,角膜などの組織中への銅の過剰沈着による広範な病変が認められ,その臨床症状もきわめて多彩である1,14,17)。しかしながら,通常は,肝症状および神経症状が前景に立って出現するが,他方,精神症状,骨症状あるいは,腎症状なども発現する5,10,16)。しかし,その発現順序は症例によって一定していない。就中,精神症状は,比較的発現頻度が高く初発症状としても重要である。そして,この精神症状も,銅代謝異常による脳の器質性変化を基盤に発現することはいうまでもない。我々は,現在までに詳細に検索しえたWilson氏病8例についての臨床症状,特に精神症状について検討するとともに,最近我々が観察した患者で,初診時に精神症状が前景に立ち,入院後も神経症状とともに多彩な精神症状を示した興味ある症例を経験したのでここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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