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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻6号

1976年06月発行

文献概要

特集 在宅精神医療—日常生活における指導と治療

Ⅲ.精神科診療所における在宅医療

著者: 香内信一1

所属機関: 1香内神経科医院

ページ範囲:P.657 - P.663

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I.はじめに
 わが国の精神医療には単なる入院中心主義から脱却し,外来治療・社会復帰活動・地域精神医療の確立へと進むべき一方向がある。現在我々は精神医療の持続的一貫性や地区責任性について論ずるほどの力量はないが,現実に全国に約2001),群馬県下でも14の精神科診療所が在宅治療とケアを精神医療の中心にすえて治療しているのである。診療所在宅医療の展開をめぐり,昭和44年に山越2)によって精神医療のなかで診療所の位置づけを行って以後7年,当時とくらべ部分的には変わったものもあるが,全般的には余り進歩しているといえない。これは単に診療所機能の不完全さとか,地域に対する働きかけのまずさといった主体的,技術的な側面だけの問題でなく,あいも変わらぬ低医療費政策の下では入院患者が病院にあふれている現象とうらはらに,わが国の精神医療政策の貧困と立ち遅れが大きな要因をなしていると思われる。今回の「診療所外来で支えられる人,支えられない人」についての報告は,群馬県下の精神利診療所(各医師は開業歴2〜12年の経歴をもつ)のうち8無床診療所と2つの総合病院精神科外来で診療をしている精神分裂病を対象とした。また「支える」という言葉をとりあえず「外来で入院させずに診療し生活をもちあげ,なおしてゆくこと」と規定する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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