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研究と報告
光過敏反応を呈する内因性精神病についての検討
著者: 田中恒孝1 上平忠一1 宮下俊一1 小倉正己2
所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室 2松南病院
ページ範囲:P.873 - P.880
文献購入ページに移動内因性精神病の脳波学的研究は過去において数多くなされている。その結果,精神分裂病の緊張型や非定型精神病の中には,てんかん性異常波を示すものの多いことが知られている。しかし,これらの疾患におけるこの波のもつ意義はいまだ十分明らかにされておらず,ましてやこれがそれらの疾患の器質因を証拠だてる根拠とまではなりえていない。一方,これらの発作波を呈する精神病の中には特異な病像や経過を示すものが多いことも確かで,この点に関しては古くから関心が向けられている9,23,31)。我々もこれまでに内因性精神病の継持的脳波観察を行ない,てんかん性異常波特に6c/s棘徐波との関係を追求してきたが20,28,30),その過程でこれらの症例の中に光過敏反応―光けいれん反応photoconvulsive response(PCR),光搐搦反応photomyoclonic response(PMR)およびその混合型―を示す症例に遭遇した。精神病におけるPCRやPMRについての観察は少なくないが,その症状の経過に従って継時的に観察を行なった報告は乏しい。我々はこれらの症例を検討するなかで若干の興味ある所見を観察したので,ここに報告し考察を加えてみたい。
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