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研究と報告
精神症状の先行した全身性エリテマトーデス(SLE)の1例
著者: 武居弘1 岡田導夫2
所属機関: 1関東逓信病院精神科 2関東逓信病院脳神経研究室
ページ範囲:P.881 - P.886
文献購入ページに移動精神症状を伴うSLEの報告は,現在,本邦だけでも数十例を越えている。既にSLEは精神症状の検索に続いて,症候学的整理の段階に至ろうとしている1,2,15)。これまでの報告を見ると,精神症状がSLEの身体症状に伴って現れるか,身体症状に続発する場合が大部分を占めている。これらは,随伴した身体所見によって,症状性精神障害であることが確認されやすい。精神症状が身体所見に先行して現れるか,または,精神症状があまりにも際立っているため,当初,ほかの精神疾患と考えられた症例の報告は多くはない。精神分裂病症状で発症したSLEの症例では,Hanrahan3)の症例1,2,Malamudら4)の症例1,Bennettら5)の症例4,および本邦では原田6)の報告のほか,2〜3みられるのみである。躁状態では,清水ら7)の報告があり,うつ病症状ではWaringら8)(症例1)の報告がみられている。長期間にわたり,主として欠陥分裂病症状で経過し,末期に至るまでSLEの特徴的身体所見を,明確に現さなかった症例はあまりないと考えられる。これはSLEの症候学,診断学および治療上に,若干寄与するところがあると考えられるので,ここに症例の報告を行ないたい。
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