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研究と報告
精神病院における治療状況と分裂病者の寛解過程について
著者: 永田俊彦1
所属機関: 1同愛記念病院神経科
ページ範囲:P.951 - P.957
文献購入ページに移動現在,日本の精神医療は患者の拘禁問題等々,精神病院の反医療性が告発されている。しかしながら,現在の我々の医療技術をもって入院治療を否定しきれるものではなく,また,森山1)が指摘するように「精神医療のこの現状にも拘らず,病から治ってゆく患者が現にいる」ことも事実である。そこで「この現状にも拘らず治ってゆく」現象は何か,いかなる過程を経るものか,その内実を明らかにすることは,あるべき医療を論ずる前に必要となってくる。
これまで,このような視点からの研究報告は少なく,また,方法論的に,「精神病院の治療構造」を社会学的に研究するものと,これらの治療状況を離れた「分裂病の過程」の研究に分離する傾向にある。前者はGoffman, E. 2)の“Asylums”の業績に代表され,後者としてはConrad, K. 3),Kisker, K. P. 4),Janzarik, W. 5)らの分裂病過程の業績があげられるが,寛解過程を積極的に論じているのは最近の中井6)である。
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