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文献詳細

雑誌文献

精神医学18巻9号

1976年09月発行

研究と報告

対人恐怖を伴う境界例の臨床

著者: 青野哲彦1 金子元久1 大塚健正1 渡辺吉彦1 松田岱三2 尾野成治3

所属機関: 1福島県立医科大学神経精神医学教室 2国立仙台病院精神科 3福島大学教育学部特殊教育研究室

ページ範囲:P.959 - P.966

文献概要

I.はじめに
 人前で,自己の表情が変化してしまうと確信して悩む者は,本邦では一般に対人恐怖症と診断されているが,この中には分裂病との境界例,あるいは分裂病の初期段階と考えられるものも含まれている1〜3)。これに対して,諸外国では本邦におけるような対人恐怖の記載は少なく,むしろ醜形恐怖4)(dysmorphophobia)の記載が多い。そして,醜形恐怖のもつ境界例性5,6)についても報告されているが,笠原1)などが指摘するように,西欧では,醜形恐怖はそれによる対人性よりも醜形性そのものについて論じられる傾向にある。一方,現代は分裂病の神経症化と神経症の分裂病化の時代7)ともいわれており,この種の症例が内外ともに増加しているのも事実と思われる。
 我々の教室でも,これまでに,いわゆる境界例について考察してきたが8,9),今回は対人恐怖症者で,最終的には分裂病との境界例と診断した症例について検討したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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