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古典紹介
—J. H. Jackson—Evolution and Dissolution of the Nervous System (Croonian Lectures, 1884)—第1講
著者: 越賀一雄1 船津登2 清水鴻一郎2 角南健1
所属機関: 1大阪医科大学精神医学教室 2大阪医科大学第一外科(脳外科)学教室
ページ範囲:P.993 - P.1005
文献購入ページに移動進化(evolution)の理論は日々新しい信奉者を得ているが,進化といってもそれは単にダーヴィニズムと同じ意味ではない。H. Spencerはその進化の理論をあらゆる秩序の現象に適用した。中でもその神経系への適用は医学者にとって最も重要である。私は以前から神経系の疾患の研究において,それを進行の逆行(reversal),即ち解体(dissolution)とみなすことが極めて都合がよいのではないかと考えていた。この解体という術語は進化の過程の逆の過程を示す名称として,この術語をSpencerから借りてきたのである。この問題は長年にわたって研究されたところである。約50年前,Laycockは反射活動の理論を脳に適用した。CharlesBellは酩酊の深さについて,またBaillargerは失語症について述べた時,そこに随意的段階から,最も自動的な段階への退行(reduction)のあることを指摘した。故人,Anstie博士の研究(興奮剤と麻酔剤)では,この解体という言葉は用いてはいないけれども,神経系の疾患を解体の例として研究するのに非常に有益な貢献をなしている。またその他にもこれと同じ方向にむかってなされた極めて有益,かつ独創的な研究としてRoss,Ribot,Mercierの研究をあげることができる。HitzigやFerrierの輝かしい研究は他の分野における偉大な価値をもつとともに,神経系の進化と解体の理論を支持するのに極めて有益でもあったのである。この点に関して著者は最近の大脳局在についての有益なSharkeyの論文について大いなる敬意を払うものである。
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