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巻頭言
恩師を語る
著者: 難波益之1
所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.2 - P.3
文献購入ページに移動 精神医学の将来の発展に資しうる巻頭言を書くことは,猪瀬先生も言われたように責任が重く且つ生ま易しいものではない。その巻頭言であえて恩師を語る理由は,個人的な昔の追想に耽ったり,あるいは先生を持ち上げ飾ろうというのでも毛頭ない。Vogt先生といい,林先生といい,天才が最後まで分裂病の生物学的研究に燃やされた執念と生きざまを,分裂病の治療に立ち向かう若い入々とともに再度見つめ,ともすれば本質を見失い,停滞し勝ちな日々の努力への刺激と指針にしようと願うからである。天才のすべてを理解し語ることは難かしい。両先生の一面のみを述べうるに過ぎず,あるいはまた誤解を与える点もあるかもしれない。この拙文が両先生の名を汚さないことと筆者の意図が正しく読者に汲み取られることを願うものである。
わたしがその下で直接比較的長く学びえた先生は林道倫先生,藤原高司先生およびO. Vogt先生である。このうち,藤原先生は林道倫先生のNachfolgerとして教授御就任後4年目,わたしがドイツ留学中に不幸にも若しくて御逝去されたので,先生の学問を学びとる時間が少なかった。しかし先生が精神分裂病の生物学的研究へ向けられた御熱情は入局したての何も分からないわたしにまで感染し大いに発憤させられたものだった。
わたしがその下で直接比較的長く学びえた先生は林道倫先生,藤原高司先生およびO. Vogt先生である。このうち,藤原先生は林道倫先生のNachfolgerとして教授御就任後4年目,わたしがドイツ留学中に不幸にも若しくて御逝去されたので,先生の学問を学びとる時間が少なかった。しかし先生が精神分裂病の生物学的研究へ向けられた御熱情は入局したての何も分からないわたしにまで感染し大いに発憤させられたものだった。
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