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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻1号

1977年01月発行

文献概要

研究と報告

熱性けいれんから無熱性けいれんへの移行例—Ⅰ.臨床的,脳波学的,追跡的研究

著者: 坪井孝幸1 遠藤俊一1

所属機関: 1東京都神経科学総合研究所遺伝学部門

ページ範囲:P.19 - P.32

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Ⅰ.まえがき
 小児けいれんは一般人口中の1%34)〜15%28)(中央値3.6%26))が罹患すると見積もられ,小児が罹患する神経疾患中最も高い頻度のものに属する。熱性けいれんは,この小児けいれんの大部分を占めている20)
 熱性けいれんは,一般に男児が女児より多く罹患し,好発年齢のピークは1歳半,6歳以後に起こることは稀である。近親者(両親・同胞)の9%9)〜20%18)は発端者同様に熱性けいれんに罹患しており,てんかんまたは熱性けいれんの遺伝負因(発端者以外の近親者中に罹病者がある)が見つかったものは7〜71%(中央値25%)2)と示されている。双生児研究により,1卵性双生児における熱性けいれんの一致率は2卵性双生児におけるよりも高率であることが知られている(68%:13%17);31%:13.5%24))。Lennox-Buchthal(1971)の結果を用いて遺伝率(heritability)を計算すると0.63となり,てんかんの0.52(1卵性の一致率57%,2卵性の一致率11%)32)よりも大きい。脳波検査の結果,患児の20〜30%9)にてんかん性異常が見つかり,その他の異常を含めると,異常出現率は60%25)に達するという報告がある。以上は今までの研究結果の概略である。熱性けいれんはてんかんと密接な関係を有し,発病には遺伝素因9,26)と外因6,34)のがそれぞれ重要な役割りを果たしていることを示唆しており,患児の一部にはてんかん特有の脳波異常が見つかることがある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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