文献詳細
研究と報告
抗うつ剤服薬中の飲酒によって異常反応を呈した臨床例
著者: 小片寛1 庄田秀志1 小宮山徳太郎1 中沢信之1
所属機関: 1信州大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.49 - P.56
文献概要
1958年,Kuhnがimipramineの抗うつ効果を報告して以来,数種の三環抗うつ剤が精神科領域のみならず医療の各分野でうつ状態の治療薬として広く利用されるに至った。
一方,わが国での年間アルコール消費量は増加の一途をたどり,額田29)の報告によれば1960年から1970年までの10年間に清酒換算の年間消費量は清酒がおよそ2倍に,ビールとウイスキーが3倍に増加したといわれる。それに反して,焼酎・合成酒の減少は僅かにすぎなかった。この事実はアルコールが国民の日常生活へますます広く滲透していることを裏づけるものである。このような状況下で薬物療法を行なう際に,中枢に対する向精神薬とアルコールとの相互作用に医学的配慮が要請されよう。
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