icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻10号

1977年10月発行

文献概要

研究と報告

分裂病とヒステリーの関係—その歴史的概観と状態像の考察を中心にして

著者: 大原貢1

所属機関: 1愛知医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.1021 - P.1029

文献購入ページに移動
Ⅰ.はじめに
 近年において強迫疾患と分裂病との関係が新たな眼で見直されているようであるが,分裂病とヒステリーの関係については今日ほとんど研究のなされていない問題圏に属しているといえよう。しかしこの問題は前世紀末より今世紀初頭にかけて熱心に討議されていた(とりわけ独,仏において)のであり,今日においてもわれわれは日常の臨床においてヒステリー状態を呈した人が,一過性に,あるいは長い経過を経るうちに完全に分裂病の状態となったり,分裂病状態を呈する人がヒステリー状態を示したりする場合にしばしば遭遇する。1954年Ziegler, F. J. ら40)は,ヒステリーと診断された66名の婦人のうち12名が20年後の診察において分裂病と診断された事実を報告し,また1962年Astrup, C. ら5)は130例の精神病者中49例にヒステリー徴候を見出しており,「この問題が今日何故に等閑に付されているのか理解に苦しむ」とStork, J. 35)も述べるように,われわれは今日いまいちどこのような臨床的事実を謙虚にみつめなおし,そこに内包されている問題を考えてみる必要があるように思える。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?