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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻10号

1977年10月発行

研究と報告

前頭葉ピック病の1例

著者: 石野博志1 大林正和1 佐々木健1 林泰明2 野間拓治3 上藤恵子3

所属機関: 1岡山大学医学部神経精神医学教室 2国立岡山病院神経科 3河田病院

ページ範囲:P.1031 - P.1040

文献概要

Ⅰ.まえおき
 元来ピック病は臨床像と脳の肉限的所見に基づいてつけられた病名である7)。その特徴は葉性萎縮とよばれるように,大脳の限局性萎縮で,側頭葉または前頭-側頭葉に認められるのが普通で,前頭葉だけの萎縮は比較的少ない。新福・石野ら20)は以前に前頭葉ピック病の1例を報告したが,このたびさらに1例を経験した。この種の症例についてはAltman1),Gans5),Richter17),Braunmühlら3),Schneider18,19),Stertz23),Lüers12),小林ら11)(会報),安斉ら2)(会報)の報告がある。しかし側頭葉の組織病理所見については詳しい記載がない。前頭葉ピック病では側頭葉は完全に保たれるのか,それとも肉眼的な萎縮はほとんどないが,顕微鏡的には皮質の神経細胞脱落,ホルツァー染色によるグリオーゼが側頭葉白質にあるのだろうか。臨床的に側頭葉型または前頭-側頭葉型と区別できる特徴はないか。われわれは症例を詳細に記述したのち,これらの問題について若干の文献的考察を加えたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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