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文献詳細

雑誌文献

精神医学19巻10号

1977年10月発行

研究と報告

著明な視覚構成障害を呈したAlzheimer病の1例—神経心理学的初発症状について

著者: 倉田孝一1 地引逸亀1 倉知正佳1 山口成良1

所属機関: 1金沢大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.1041 - P.1049

文献概要

I.はじめに
 構成失行は種々の脳損傷で最もよくみられる神経心理学的症状の一つであり,従来,左半球障害によって出現すると考えられてきた。しかし,本失行がPatersonとZangwill1)によって,右半球障害によっても出現することが報告されて以来,左右両半球それぞれの損傷による構成障害の特徴についての研究がなされてきた。
 今回,われわれは従来神経心理学的症状相互の境界が不明瞭で,知性障害などの一般精神障害を高度に伴うため,詳細な神経心理学的研究は困難なことが多い,初老期痴呆(Alzheimer病)の1症例において,際立った構成障害を認めたので,Alzheimer病における構成障害の特徴について,左右大脳半球機能との関連を中心にして観察を行なった。その結果,本症例の構成障害は主に劣位半球障害によるものであり,また,Alzheimer病のある型では構成行為の障害を初発症状とする可能性もあることを提起し,ここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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