文献詳細
研究と報告
文献概要
I.はじめに
欧米においては,Wernicke脳症はまれではなく,VictorとAdams19)のBoston City Hospitalの統計によれば,アルコール性神経疾患の3%を占めるという。しかし,本邦においての報告は必ずしも多くはなく,現在まで臨床例,剖検例合わせて55例であり,かつアルコール性の女性例の報告は皆無である。一方,Wernicke脳症の原因としてthiamine欠乏がいわれているが,現在までの報告例の中にもthiamineの定量的な検討例は少ない。われわれは最近,アルコール性Wernicke脳症の女性臨床例を経験し,血中thiamine値の低下を認めたのでここに報告する。また,Wernicke脳症について,自験例を含めた本邦例と欧米の報告例とを比較検討し,併せてthiamineとの関連について文献的考察を加えたい。
欧米においては,Wernicke脳症はまれではなく,VictorとAdams19)のBoston City Hospitalの統計によれば,アルコール性神経疾患の3%を占めるという。しかし,本邦においての報告は必ずしも多くはなく,現在まで臨床例,剖検例合わせて55例であり,かつアルコール性の女性例の報告は皆無である。一方,Wernicke脳症の原因としてthiamine欠乏がいわれているが,現在までの報告例の中にもthiamineの定量的な検討例は少ない。われわれは最近,アルコール性Wernicke脳症の女性臨床例を経験し,血中thiamine値の低下を認めたのでここに報告する。また,Wernicke脳症について,自験例を含めた本邦例と欧米の報告例とを比較検討し,併せてthiamineとの関連について文献的考察を加えたい。
掲載誌情報